対峙
虫をやっていると、普通種ながらなかなか縁がないヤツというものが絶対に出てくる。
自分にとっては、今回のターゲットであるアオマダラタマムシNipponobuprestis amabilisがその一つだ。
聞くところによると、こやつは冬でも採集可能なタマムシであるということだ。
ということで行ってきた。
こいつの場合、ホストはいろいろなものを利用しているそうだが、照葉樹林においてはソヨゴを食っていることが多いという。
材中で成虫越冬するので、この時期ソヨゴをバリボリすれば出てくるというワケだ。
しかし、ぼくは植物に弱いため(仮にも虫屋なのに……)ソヨゴと言われてもピンとこない。
まあどっかで見たことがあるし、アオマダラは福岡近郊でも採集例があるのでそのへんに生えているんだろうと思い、適当に場所を選定した。
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まだ日が昇り切らないうちに登山口まで足を運び、ちゃっちゃと準備をしてさっそく山を登った。
この山は何回か来たことがあるので多少は勝手が分かっているつもりだ。
ふもとのほうは植林地帯だが、5分も登ればすぐに照葉樹林へと突入する。
なんの変哲もないです
事前にソヨゴの情報を頭に入れ、ソヨゴ生えてないかな〜とブツブツ言いながらゆっくりと山を登っていく。
ちなみに樹皮が灰色ですべすべしててところどころ白色の斑紋が入るのがソヨゴだ。多分。
さらに5分くらい登るとソヨゴくさいのがポツポツと生えてきた。
アオマダラがいるなら倒木があってもいいはずだ、とソヨゴの倒木を探す。
すると斜面の上に白くてでかい木が倒れていたので、あれじゃん?と思いうんしょっと斜面を登る。
これじゃん?
近寄ってみれば羽脱孔がボコボコと空いている。
タマムシは台形に近い形というか、楕円形の羽脱孔を作ることが多いので、これはビンゴではないか。
さっそく持ってきたナタで削る。
すると、緑色のキラッとしたものが蛹室らしき場所に入っていた。
そっと落ち枝でかき出すと、
よっしゃあ!ビンゴだ!
あっけなくアオマダラを採集してしまった。
普通種とはいえ、いるだろうと思った場所で採集できるとめちゃめちゃ嬉しい。
さらに削る。
もう一丁!
いや〜気持ちがいい。
しかしここであることが発生する。
それは、
手が限界
タマムシが入るんだからかな〜りガチガチに固い材だ。
そんなのを調子に乗ってナタ一本で削るんだから、すぐに腕が痛くなってしまった。
アオマダラは結構朽ちた状態でも入っていることがあるらしい。
ということでやわらかめの部分を削っていくと、今度は死骸しか出てこない。
もうこの時点で腕がガッタガタだったので、おとなしく帰ることにした。
ただし、材を持ち帰って。
ちゃんと出てきてくれるかな〜。
ぼくにしては珍しく、狙ったものがすぐに採れる結果となった。
まあ普通種だから当たり前か、、、