追憶のステージを駆け抜ける強かさで
いつかの記憶です.
急に長野に行きたくなった.
いや,長野というより,長野で採れる珍品ゴミダマの顔が見たくなった.
この時期いるかどうかは不明だが,まあこの時期だったらカミキリもついでで採れるだろうし,行くことにした.ついでですよ.
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さて最初の目的地へ.ここはカエデがよく咲いている.狙いはカミキリ,じゃなくてゴミダマです.
カエデの花に来るゴミダマは Arthromacra , Macrolagria あたりだけど,後者は実はもう全種採集済みなので持ってない Arthromacra 狙い.
さて,林道沿いに歩いていくと,1本,虫がたくさん来ている木があった.
今日はここで粘ろう.
とりあえず掬うとGlaphyraの姿が.どうやらホソツヤ G. nitida っぽい.本州の亜種は初である.
ssp. adachii よりはいくぶんか小さい.
どっしりと構えて虫が来るのを待つ.
今日は暑い.肌がじりじりと太陽の光に焼かれていった.
そして,細いトラカミキリのシルエットが見えた.あれは今日の狙い・カミキリ部門に違いない.
トウキョウトラカミキリChlorophorus yedoensis (Kano, 1933)
やっぱりそうでした.いや~~~めちゃめちゃいい虫じゃないですか.
いよいよ虫の飛来が増えてきた.掬えばとりあえず何か入る状態だ.
トウキョウトラやヤマトシロオビトラと戯れていると,何やら見慣れないカミキリが.
ツジヒゲナガコバネカミキリTsujius itoi K. Ikeda, 2001
あーあ,採れちゃった.本日の裏ターゲット.
その後も Tsujius を筆頭にカミキリはちょくちょく飛んでくるが,肝心の Arthromacra が来ない.
若干キレそうになりながら昼下がりまで粘って,ようやくひとつ入った.
ナミがね.
山を下りるか.
さて夕~夜はゴミダマタイムだ.本当は今回ばかりは日中が良かったのだが移動時間の都合上夜になってしまった.
さて,木を見ていく.
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いねえ……
Uleiota.絶妙にいらない・・・・が・・・・・・採っておく・・・・・・
Pycnomerusの一員,かつ,もっともざこい人.たくさんいた.真剣に探せばアバタが採れたかも(そうだったとしても,もう持ってるし).
マツキボシゾウムシ Pissodes nitidus Roelofs, 1874
かっこいいので思わず採ってしまったがどうやら普通種のようだ.
キクイが全然いないので狙いのものはだめかー……と思っていると,材の上に Gonocephalum が這っていた.
なぜここにこんなものが?と一瞬思ったが,瞬時に手が伸びた.
カブトゴミムシダマシ Parabolitophagus felix (Lewis, 1894)
全然ゴノケじゃねえじゃん....
しかし見誤ったのも無理はない.なぜなら,採ったことがなかったからだよ!
本種は別に珍しくもなんともないのだが,なぜか今まで全く縁がなかったのだ.ヒトクチタケなんて何回も見てるのになあ・・・
こんな虫で喜べるなんて幸せだなあなんて声が聞こえてきそうだが,いやー嬉しいもんは嬉しいですよ.
本来のターゲットは残念ながら見れなかったが,まあ採集は既にしているのでそこまでダメージは大きくない.
軽い足取りで帰路についた.