ごみだまろぐ

甲虫屋のネガティブ日記

雲間に霞む光はまだ春めいて

遠い九州ではもう気が早い虫がぽんぽん出ているという.

でも本州ではまだ季節が足踏みしており,まだまだこれからという感じだ.


しかし,一介の虫屋の逸る気持ちを抑えるには,少しばかり暖かすぎた.


あなたに会いたい……ただそれだけを願い,満ちては欠ける月を数えて.

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星のない夜ただ東を目指して

ケブカトラカミキリ Hirticlytus comosus (Matsushita, 1941).


そのぬいぐるみのような愛らしい外見とは裏腹に,イヌマキの深刻な害虫だ.もっとも,害虫かどうかなんてホストがニンゲンに好まれるかどうかの違いでしかないけど.


九州にいたころに材採に挑戦したことはあったが,残念ながら蛹室が全てからっぽだったという苦い思い出がある(羽脱済みというポカではないはずだが).



非常に残念ながら本州にも侵入しているので,誠に遺憾ながら心を鬼にして駆除にいってきます.

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仕事終わりに

そういえばアイツ狙って採ったことないなって・・・


夜,近くの公園に行ってみた.


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スギカミキリ Semanotus japonicus (Lacordaire,1869)

関東は多いと聞いていたけど,なんともあっけない.


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九州でも探せばこのくらい採れたのかな.

旅人の群れを飛び越えてまで

いつの間にか茨城県にずっといることになってしまった.

虫について言えば不毛だのなんだのと誹りを受けることの多い当県であるが,探せばいいところもあるはずだ.

たとえば,セアカオサが採れやすい...とか.



自分含め,セアカオサといえば草原的環境,と百人一首のように連想できる虫屋は少なくない.しかし,必ずしも本種の生息環境はそういったものに限られないようで,中には里山の虫であると主張する向きもある.




はて?



調べてみるとここ茨城県では某遊水地(これ伏せる意味ある?)で採れる個体は確かに多く見受けられるものの,ネイティブイバラキアン虫屋的には遊水地ではない,それどころか湿地とはかけ離れた,虚無のような土地で採っている人が多い.


それは面白そうだと思って出撃したのが先月.


見事に死亡した.



今回は強力な助っ人(なんと,農工大OBのトシさまであります)を連れて再度チャレンジした.

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現在の住居からセアカオサ・ホットスポット(と,勝手に呼んでいるがいる確証は全くない)までは車で30分,近さがウリである.

重要なことを言い忘れていたが,セアカオサは苔の下で越冬するらしいのでそいつを狙う.


とは言ってもしょせんコケ,いたるところに生えている.

わたしがせっせとコケをいじめているとそれを見ていたトシくんが言った.

「セアカオサが採れているコケとおまえがいじめてるコケ,種類ちがくね?」


なるほど確かに.


そのへんに生えているのはマッティなコケ(名前は忘れた)だが,環境写真で写っているのはもっと性的ないやらしいコケだ.


というわけでいやらしゴケを求めてうろうろすると,植林に囲まれた空き地に生えていた.

コケ下を見る.


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ほーん?


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やった.


つまりコケの種類が決め手だったわけですね.


まとまった個体数が見られたので,この種類のコケを選んでいることはほぼ間違いなさそうだ.



目的を達成できてほくほく顔で帰路についたのだった.