なんかなあ
ぼくはタトウをかなりため込んでしまう人間なのだけど,こういうことをしているとかなりの軟化作業に追われる.
一時期,ハガロンを用いた虫体の軟化が話題になったけど,あれは微妙だと思う.
ちっこい虫にはそこそこ有効だけど,でかい虫にはまるで効果がない.
「でかい虫なんて採らねえよ!」って人は別にいいんですけど.
ぼくは現在電気ケトルを用いて軟化をしていて,この方法はそこそこ有名だと思ったのだけど超優秀な後輩がこれを知らなかったみたいで,一応ここにも書いておく.
といってもこの方法は至極単純.電気ケトルの注ぎ口に虫をぶち込むだけだ.
Psammodes sp. 某エーミールさんからの頂き物です...が,非常に汚れているうえ,虫体がカチコチ.
ラベルには1999年採集とあったから,おそらく20年近くこの体勢のままだったのだろう.
もちろんハガロンでは太刀打ちできない.そういうときは……
入れてしまう.
電気ケトルの注ぎ口に入れる際に,触覚とかフセツが折だれやすいので注意すること.
あとはスイッチをオンにして,沸騰するのを待つだけ.
水をちょびっとしか入れないでおくと,30秒もしないうちに沸騰するので作業を迅速にできる.
沸騰した後は,湯気に注意しながら虫体を取り出す.かなりクニャクニャになっているはず.
だいたい整えられました.あとは掃除するだけ.
この方法は利点は,すばやく簡単に軟化できるということに尽きる.ハガロンはいちいち塗るのが面倒だし,肝心の効果も微妙.
対してこちらは待つだけである.小さい虫相手だったら,一度に複数軟化できる.そしてハガロンよりもはるかに軟化性能は高い.
欠点は,ビロード状に毛がある虫は,シミができる可能性があること.軟化した直後は,大抵の虫が斑紋を消失したり薄くなったりして真っ黒になってしまい焦るが,乾燥すればすぐ元通りになる.しかし,一部の虫は半永久的にシミになってしまうようだ.今のところ,ワリックツノハナムグリでのみ確認.
あとは,この方法でもデッカイクワガタの大アゴはどうにもならない.何度も何度も軟化すればなんとかなるのかもしれないが,素直に頭を取って筋組織を壊したほうが早い.
この方法は大多数の虫に対して有効であるので,一度試してみてはいかがでしょうか.
電気ケトルは,注ぎ口にフタのないものがいいです.