詰った成果を晒す余裕なんてないよ
ゾウムシ屋の後輩であるカオカクシ君と5/3-6まで広島県まで採集に行ってきた.
狙いは……アカイロニセハムシハナカミキリ!カエデノヘリグロハナカミキリ!フタスジカタビロハナカミキリ!あれ?ゴミダマは?
そう,あれは数週間前のことだった…….
GWはどこに行こうかな〜と思っていたところ,九州オオズさんから「広島に行って来たら?本州はカミキリがいっぱいいるし,運がよければキマルが採れるよ」との言葉をいただいた.
う〜ん,広島かぁ〜〜…….たまには本州もいいかもしれないなあ.ぼくはあまり広島でイイ思いをしたことがないのだけど…….
一応説明を入れておくと,キマルとは冒頭のフタスジカタビロハナカミキリの愛称だ.黄色くて丸っこいからキマル.たぶん.
キマルはヤマシャクヤクという珍しい植物の花を後食することが知られていて,林床にポツンと咲くヤマシャクヤクに愛らしいカミキリムシがくっついている図は,とてもとても絵になるそうだ.
このカミキリは九州にはいないことになっているので,見れるものではないと思っていたが…….
広島にいるなら,これはもう行くしかないっしょ!!!
ちなみにアカイロニセハムシハナカミキリは,本州では比較的普通に見られるもののこれも九州にはいない.
カエデノヘリグロハナカミキリは九州にもいるが少ない.
どちらもイイ虫だ.
その場にカオカクシ君もいたので,話がトントン拍子で進み,GWは広島にアタックすることに.
関門橋を越えて……
と,いうわけで広島に来てしまったのだ.そう,来てしまったのだ…….
写真を見ればわかる通り天気はあいにくの雨.だが,キマルは雨でもヤマシャクヤクの花の中にいるという.
九州オオズさんから教えていただいた「ヤマシャクヤクが咲いている場所」に着くと(いや本当にありがとうございます……),2人とも雨合羽に着替えて山の中をずんずん進んだ.
服は濡れないけど靴の中がビッショビショになった…….
しかし,雨だからかヤマシャクヤクは一向に見つからない,あっれーーーー????おかしいなーーー????
結局この日は見つけられず.夜になっても雨が降っていたので街灯めぐりをした.ジョウカイしかいなかったけど.
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翌日,目を覚ますとまたしても雨.もうやめてくれえ…….今日も別の場所でヤマシャクヤク探しに勤しむことに.
靴の中をさらにビショビショにしながら山の斜面を駆けずり回るが,やっぱりヤマシャクヤクはない.
もうキマルとかいいから,ヤマシャクヤクという植物を見たいよね…….という話をカオカクシ君と何回もした.
午後になり天気が持ち直したので,花を掬っていった.しかし,入るのはピドニアくらい…….ナシの花でタカオメダカカミキリが採れたのが一番の成果だった.
……察してください.
夜はライトトラップをした.が,気温が10℃を下回っているので何も飛んでこなかった…….その辺を歩き回ってゴミムシなどをつまんだ.
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次の日,起きると気持ちのいいくらい晴れだった.ヤマシャクヤクを探索できるのも実質今日が最後.
今日も山に入る……と言いたいところだが,ぼくはもう心が折れていた.
カオカクシ君にヤマシャクヤクを探させて,ぼくは林道沿いの花を掬うという暴挙に出た.性格が悪すぎる!なんてヤツだ!!!
ひたすらウワミズザクラを掬っていると,網にリンゴカミキリみたいな物体が…….こ,これは……!!!!カエデノヘリグロハナカミキリじゃないか!!!
中央がカエデノヘリグロハナカミキリEustrangalis distenioides Bates,1884.カッコいいでしょ????
カオカクシ君に自慢してやろうとそわそわすること数分,ようやくカオカクシ君が林道に降りてきた.
「ヤマシャクヤクあった?」
「ないですね〜」
やっぱりそううまくはいかないか〜.
「カエデノヘリグロ採れたよ!いいだろ!!!」
「いいですね!あっぼくはヒラヤマが採れましたよ」
ぬぁぁぁぁんだってええええええ!??!
ヒラヤマっつうのはヒラヤマコブハナカミキリのことで,九州では稀だけど本州では結構普通種.しかしぼくは採ったことがない…….く,くやし〜〜〜!!!
その後,「ヒラヤマいいなあ」「カエデノヘリグロいいなあ」と散々言い合った.
いや違う!ヒラヤマじゃなくてキマルを採りに来たんだ!目的を忘れちゃいけない…….なんとしてでも今日中にヤマシャクヤクを見つけなければ.
この採集の前,九州オオズさんとは別のカミキリ屋さんに
「ヤマシャクヤクはねえ,昨年生えていた場所に今年も生えているとは限らないよ」と言われたことを思い出し,教えていただいた場所よりさらに奥深くに進むことにした.
が,どれだけ奥に進んでもヤマシャクヤクのヤの字もなかったのであった…….
ジムグリはいたけどね.
夕方,残党狩りと称して花を片っ端から掬いまくっていたらカオカクシ君がねんがんのアカイロニセハムシハナカミキリを採りやがった.ちくしょおおおおお!!!!!!!
⇒ころしてでもうばいとる
今日の夜もライトトラップ.気温が10℃を下回っていて以下略…….
寒い寒い言いながら寝た.
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お日さまの光で目を覚ます.幸せな気分だなあ…….泣いても笑っても今日が最終日だ.残念ながら,もうヤマシャクヤクを探している暇はない.
もう完全に花掬いにシフトすることにした.成績が良かった花のところに張ることにした.
が,花の場所まで着くと既に網を持った方が2名…….
「ワタシタチ,虫屋ジャナイデスヨ?」といった感じで素通りし,あんまり良くなかった花で遊ぶことに.
と,ぼくの網にアカイロニセハムシハナが!!!!いよっしゃああああああああ!!!!!!
上段中央がアカイロニセハムシハナカミキリLemula nishimurai Seki,1944.いいでしょいいでしょー?
カオカクシ君も「カエデノヘリグロ採ったぁぁぁぁ!!!!!」
チッ.
この花で遊び尽くしたので,もう帰ることにした.帰りに,さっきのカミキリ屋さんたちに挨拶でもすることにした.
さっきの花に着くと,まだいらっしゃった.よかった…….なんか1名増えてる…….
「こんにちは〜」と挨拶.採れてますか?と伺ったところ,ぜんぜん虫が採れていないとのこと.なんだ.そっかぁ.
Glaphyraを狙っているものの,コジマヒゲナガコバネカミキリしか入らないらしい.なんだそれ!九州かよ!!!
そちらはなんか採れましたか?と訊かれたので,
「アカイロニセハムシハナが採れましたよ!!!嬉しいです!!!!」と返した.
相手の「ハァ?」といった顔が今でも忘れられない…….
「そ,そうか!九州にはアカイロいないんだっけ!」とフォローしてくれた.そうなんです.いないんですよ(T_T)
本州の虫屋さんにとってはツマラナイ虫かもしれないけど,九州民からしたらかなりイイんですよ…….
さらに,
「キマルを探しに来たんですけどヤマシャクヤクが一向に見つからなかったんですよ……」と未練たらたらな空気をまといながら言ったところ,
「え?キマル?まだ早いよ.キマルが採れるのは5月の3週目くらいからだよ?」
ぬかった…….
ああああああああ何をやっているんだぼくは.
こんな感じで談笑(?)していたら,虫屋さんの一人が「そういえば,昨日だかおとといまで対馬にいたんだよ〜」とニコニコしながら採集品を見せてきた.
うわ!めっちゃいい虫並んでるし!うわ!GWの対馬ってこんな虫採れるのか!うわ!なんでぼくは広島にいるんだ……?
ドギモを抜かれてしまった…….
虫屋さんたちとさようならをして帰路につく.ぼくは思った.
今からでも遅くない.明日のフェリーで対馬に行くぞと…….借金してでも行くぞ!!!
悲惨な広島採集 おしまい.
最後に,情報を提供していただいた九州オオズさん,ありがとうございました.
カオカクシくん,お疲れ様でした.