ごみだまろぐ

甲虫屋のネガティブ日記

3県採集・2日目

朝起きたら雨がびしゃびしゃ降っててげんなり。先輩が、詰んだなんておっしゃっていたけどまさにその通りだと思った。
とりあえず皆で2度寝した。そして8時くらいに再度起床。この時には雨は上がっていた。地面は濡れていたけど。
寝起きのまわらない頭で、昨日の土場を見回ったが、クチキムシくらいしかいなかった。一応雨は上がったので、峠を目指して出発した。車内のテンションが異様に低くておもしろかった。

しばらく標高を上げたところで、停車。峠にはまだ着いていなかったが、ここで採集をするらしい。
車から環境を見たところ、沢沿いに、そこそこ急な斜面が広がっている場所で、なかなか雰囲気はよさそうだった。しかも立ち枯れや苔むした倒木が多い!沢のまわりはガレ場になっており、ゴミムシも期待できそうであった。
…が、車を降りた瞬間、失敗したと思った。寒すぎる。しかもその時はシャツ1枚に薄手の上着1枚という軽装備で、それが余計に効いた。

震えていても仕方がないので、採集に行く。滑落の危険が高かったので、慎重に斜面を下りて行った。
そのうち寒さも感じなくなってきたので、まずは、近くにいくらでも転がっている倒木を調べていった。
しかし、条件はよさそうだったが、予想に反して虫がいない。ヘビトンボのサナギしか出てこない。少しむなしくなったが、それでもポツポツと山地性のゴミダマを出すことができた。どうやら、倒木には虫はあまりいないらしい。

今度は、立ち枯れを狙うことにした。近くにあった立ち枯れの樹皮をおもむろにはがしたところ、やけに大きいゴミダマがいた。しかもエリトラには明瞭なスジが何本も入っていてツヤがあり、頭部には短い角が発達していた。なんだこれは。

どうみてもツノクロツヤムシです本当にありがとうございました。

何気に初見だったが、うれしいというよりはむしろ、樹皮下にいたことの驚きのほうが強かった。ほかにはハネカクシ、デオキノコの類を採集した。
立ち枯れはなかなか虫が濃く、特にハネカクシが多かった。倒木とは大違いであった。

あらかた立ち枯れも調べ終えたところで、今度はガレ場で採集することにした。
目についた石を起こしていくが、あまり虫は多くなく、ゴミムシを数頭採集するにとどまった。以前から実感していたが、九州では、東北と違い石起こしではあまり虫は得られない。何が違うのだろう?

時間も忘れたころ、遠くで僕を呼ぶ声が……。ちょっと遭難しかけたかな、なんて思いながら戻ったが、そうではなかった。
どうやらそろそろ峠まで登るらしい。もう少しガレ場にいたかったが、置いてけぼりをくらってはたまらないので従うことにした。

車に乗り、さらに高度を上げていった。僕がつまらない採集をしている間に、先輩方はなかなかいい虫を採集されたようだった。やはり採集の上手い人は違う!

5分くらい移動し、無事峠についた。記念撮影などして、ここからは歩きで採集場所に向かう。
道に穴が開いている箇所があったりして、大変危険だった。

峠の採集場所に到着したが、さっきの場所より斜面の傾斜がずいぶんきつい。こんな危険な場所でやるの…?と言いそうになった。
斜面を下らずに行ける立ち枯れか倒木を探すと、うまい具合にいくつか見つかった。

しかし、今度こそ本当に何もいない。立ち枯れにも倒木にも何もいない。さすがの先輩方も、苦戦しているようだった。
ふとあたりを見まわすと、だいぶ斜面を下ったところに、雰囲気むんむんの倒木が……。
しかし、見るからに相当アクセスは厳しそうだった。行く途中に足を滑らせたら、おそらく骨の数本は折れてしまうだろう。
でも、このままいたら何も採れない。相当悩んだが、腹をくくって行くことにした。本当に命がけで斜面を下る。途中何回か手が滑ってヒヤヒヤしたが、なんとか近くまで来ることができた。
遠くからは見えなかったが、この倒木には馬鹿でかいサルノコシカケがべたべたひっついていた。
何かいるだろうと思い、近くにあった1つを思い切りむしったら、大小のゴミダマがぼろぼろこぼれた。

うっひょーーーーーーーー!!!!!!これだァァァァァァァァァ!!!!!!!!!

とは言わなかったが、わりと近い声は出たと思う。夢中で採集しまくるが、むしったサルノコシカケが硬くてなかなか分解できない。中にゴミダマがぎっしり詰まっているのは確定的なのに。
かと言って捨てるのももったいないので、持ち帰って家で分解することにした。

ひと段落ついたところで、車に戻り、ふもとまで下りた。途中に土場に寄ったりしたのだが、ロクな虫が採れなかったので詳細は省く。どうやら柿添さんと米田さんは熊本で金環日食を見るらしく、今日は帰らないらしい。
僕は、翌日は1限2限と講義が入っていたので、伊藤さんの運転する車で今日中に帰ることにした。

帰りの車内では眠ってしまい、あまり伊藤さんや山本さんとお話しできず、非常に残念だった。こうして、2日間にわたる採集行は幕を閉じた。
米田さん、伊藤さん、運転ありがとうございました。
成果は後日載せる予定。



ちなみに、翌日寝坊して1限2限出れませんでした。