ごみだまろぐ

甲虫屋のネガティブ日記

お盆の時期に山登り!?君は山岳民族なのかな?

8/12-13に、コメダさんと2人で採集に行った。

や、採集ではないな。ドライブかもしれない。


「トラップの設置に付き合ってくれない?」

コメダさんのそんな何気ない一言が、今回の悪夢の始まりを告げる音だった。

いや、もちろんコメダさんは初めから私を悪夢に引き込もうとしていたわけではないだろう。そう、私たちは理想郷の扉を叩こうとして、誤って地獄の蓋を開いてしまったにすぎない。私たちは、間違っている道を歩んでいるという認識が全く無かった。


コメダさんが仕掛けようとしているトラップはイエローパントラップというもので、主にハチ類を採集するためのトラップであるらしい。トラップの設置が簡単であることと、設置から回収が早いということが特長で、私も仕掛けたことがある。
コメダさんは熊本県にある某山にこいつを仕掛けるつもりだったが、1人で行くとなると金額や体力の面で非常に負担が大きくなるので、同行者を募っていたというわけである。


そんな理由で2人での採集は決まり、12日の夜に出発し採集地に到着、そこで採集をした後就寝、起床後トラップを仕掛け、その後も夕方まで採集、そしてトラップを回収し、帰還するという計画が立てられた。



そしてやってきた採集の日。コメダさんはいつものように遅刻したが問題なく車を借りた。この時点で私は採集道具を家に置いてきていたので、運転していたコメダさんに「まず僕の家に向かっていただいてもよいですか」と申し出た。コメダさんは二つ返事で承諾し、私の家の前に向かった。

私の家の前に着いたとき、コメダさんは「じゃあ車を道に寄せて停めておくよ」と言った。次の瞬間、

ガリガリガリガリガリ


という嫌な音が車内に響き渡った。思えば、これがすべての始まりだった……。


その後は、特に問題なく採集地に到着した。ヘッドライトを装着し採集を開始する。

こんなところ(実際はもっと急な斜面である)を上り下りしながら虫を探す。夜中に斜面を上り下りするなんて、と思われる方がいるかもしれないが、全ては慣れである。

最初に見つけたのはマルヒサゴゴミムシダマシMisolampidius molytopsis

ブナ帯を探せば簡単に採れる虫。

他はゴミムシ類、コメツキ、コメダマ、ソボコブなど。このカメラ、夜中は虫にピントを合わせるのがつらい。マニュアルフォーカスがないのでなおさら。

カマドウマの脱皮シーン。


他にめぼしい虫はおらず。疲れたのでこの日の採集はおしまい。


翌日。天候は晴れ。晴れた日にこの山に来たのははじめてである。コメダさんがトラップを仕掛けている間、ノリウツギの花を掬いまくったがろくな虫が採れなかった。

かっこいいけど駄物なコメツキ。


一通り花を掬い終わり、コメダさんを待つ。虫がいねぇ〜……。

必死に探したがめぼしい虫がいない。

アリヅカは採っても種が分からない。


そのうちにコメダさんがようやく戻ってきた。
「ろくな虫がいねぇな」とはこの時のコメダさんの言葉。

憔悴し、日本の未来を憂えてしまったコメダさん。


「ちょっと見たいところがあるから一回車で移動しよう」というコメダさんの提案により、そうすることにした。
今日、車を運転するのは私だ。


「ぶつけないように気を付けるか〜」と言いながら車を走らせた。
これがマズかったのかもしれない。フラグを立ててしまった。


ちょっと走ったところで、急に車が

ドスン!ばしゅぅぅぅぅバスンバスンバスンバスン……ガタガタガタガタ

という今までに聞いたことのないような声を上げた。思わず、コメダさんと顔を見合わせる。

「これは……やってしまいましたかね?」

「ああ……」

外に出てタイヤを確認する。


ああ〜〜〜〜〜……。

私はコメダさんに「これ、ノンオペですかね?」と訊いた。

「ノンオペじゃね?」とコメダさん。

ああ……。でも前日車を削ったところで既にノンオペは確定していたんだ、と思い込んだ。


ショックを受けた私をしり目に、頼れるコメダさんは職人顔負けのテキパキとした手際でタイヤ交換をやってのけた。さすがです。

しかし、また新たな問題が発生した。スペアタイヤで高速を走るのは色々とまずい。でも、高速を使えないと時間通りに車を返せなくなってしまうどころか、今すぐ帰らないと今日中に返せるかも怪しい。

どうする……?トラップを回収し、車をこの日に返さなければいけないところを翌日に返すか。それとも、回収を翌日かその次の日にし、今からまっすぐ帰るか。ちなみに予報では翌日もその次の日も雨だ。

悩みに悩んだが、結局このまま帰ることにした。ここでは携帯電話の電波が入らなかったので、山を下りて電波が入るようになったころ、コメダさんがレンタカー会社にパンクの報告をした。


コメダさん「パンクさせちゃったんですけど……」

レンタカー会社「ではそちらでタイヤを修理、または交換してください」


パンクはノンオペには入らなかったらしい。ちょっと驚きだった。しかし、タイヤをパンクさせたことで「もうどうにでもなれ」と思っていた私の気持ちは変わらなかった。

そんな気持ちが仇になったのか、離合の際に木か何かに車を思い切りぶつけて、大きな傷をつけてしまった。もうダメだー。


その後はタイヤ店を探しひたすら下道を走った。どこもお盆休みか何かで開いておらず、福岡県についたころようやく1店舗見つけた。


車を返すころにはもはや精神と体力の限界だった。やはりノンオペをとられた。レンタカー会社の人に物凄い嫌な顔をされた気がする。


結局タイヤ代1万円とノンオペ2万円、合計3万円を失ってしまった。ろくな虫も採れてないし。もう車の運転なんてしたくない!切実に!!