新年はまるでまるでみるくてぃ
12月に東京に行き、東京N工大学の友人、先輩がたと4人で採集に行ってきた。
参加者は、農K大でコイツより有名なヤツはいない!カキにゃん!と、最近幸せになられただーしげさん、菌類が好きなBBさん、そして僕!である。
本当はもう一人いたのだが、寝坊で来れなくなってしまった。
というわけで、だーしげさんが運転する車で、千葉県へ。
今回狙う虫は、トゲフタオタマムシDicerca tibialis Lewis。
オサ掘りかトゲフタオかで悩んだが、オサ掘りは高校生の頃にさんざんやっているので、別にいいかなと。
トゲフタオはモミをホストとするが、秋季に羽脱し近くのスギの樹皮下で越冬するということらしい。カキにゃんとだーしげさんから採集時のシチュエーションを根掘り葉掘り聞き、どうやら、モミの本当に近くのスギがよいこと、高さはあまり関係ないらしいことを知った。
ところで、なぜ千葉県かと言うと、ぼくは関東の人間じゃないので詳しくは知らないのだが、千葉県はトゲフタオが採りやすく、わざわざ九州から遠路遥々やってきたぼくが手ぶらで帰ることはないだろう、という粋な計らいらしい。
いやはや、もっと採集がうまければそんなに気を遣わなくても大丈夫なんですけど、なんだかすみません。
というわけで、採集ポイントへ。
ところで、移動中の車の中で、農K大の方々がいろいろおもしろい話をしてくださったが、ぼくはひたすら(手ぶらは嫌だ手ぶらは嫌だ手ぶらは嫌だ手ぶらは嫌だ……)と考えていたので半分上の空だった。ごめんなさい!
カキにゃんが「3時間粘って1頭採れるくらいの虫だよ」と脅しをかけてきたからだ。
ちなみに環境はこんなところ。
典型的な照葉樹林だが、モミがポツポツと生えているのがおもしろい。もちろんスギもある。
だーしげさんは開始早々「前いっぱい見つけたスギを見てくる!」と一目散にどこかに行ってしまわれたので、ぼくはそのへんのスギで探すことにした。
あ、あそこにモミがある。スギもある。こういうところにいるのかな。
ぺらっ。
もう出たよ!はやいよ!まだ5分も経ってないよ!
とりあえず、「いたよ〜」と間抜けな声をあげてBBさんとカキにゃんを呼んだ。二人ともおめでとう、と言ってくれた。ありがとうございます(T_T)
Q州大学のメンバーだったら、即座に「○ね!!!」「あっそ」「へー。ところで俺が頼んだヤツは採れた?」と言われるところだ。
なんだ、こんな早くに見つかって、トゲフタオたいしたことないな!!と浮かれていたら、カキにゃんが「僕が一番最初にトゲフタオを見つけた採集では、今回みたいに開始数分で採れたんだけどそれ以降一頭も採れなかったんだよね……」とボソッと言ってきた。
やっぱこの人は敵だ。
しかし、彼の予言?通り、それからいくら頑張っても出なかったのである。
ぼくはもう心が折れて、「1頭採れたんだからいいじゃん」とそのへんでメソメソやっていたら、カキにゃんが「おったぁぁぁぁーーー!!!!」と声を上げた。
なんだトゲフタオごときで、騒ぎ過ぎだよ……と彼のもとにノソノソ行ったら、確かにいた。いや、
めちゃめちゃデカい。
こんなにでかくなるものなのかと仰天した。
「そんなに嬉しくないけど」と若干にやけながら言うカキにゃん。見つけた瞬間叫び声をあげたのはどこのどいつだよ。
それからまたやる気がちょっと復活していろいろやってみたがやっぱり出なかった。
コメツキがいたのでつまんだら粉々に砕けてしまった。たぶん最初から死んでたんだよね。
カキにゃんもBBさんもそれからやっぱり採れないようで「いませんねえー」などとやっていたら、
「ところで、だーしげさんどこ?」
確かに。
確かに。
採集開始から3時間くらいは経っていたと思ったが、最初の10分間くらいしかだーしげさんを見てないぞ。
こういう時は、いっぱい採れているか、助けを求めているかのどちらかなんだよなあ。絶対前者だろうなあ。うわ、やだなあ。
と思いつつも、やっぱりだーしげさんが心配なので、みんなでおーいおーいと呼んでいたら、だーしげさんが「ごめんごめん」とひょっこり現れた。「ネブト採れねえわあ」などと言っていた。
ここではネブトも採れるらしい。尤も、数は少ないらしいが。
で、トゲフタオはどうでしたか?
「4頭採れたよ」
は。
これだから、ねえ。
「まだ全部は採ってないと思うよ。4頭採って、もういいやって思ったんだ」
さすがですだーしげさん!ぼくは一生だーしげさんについていきます!愛していますよだーしげさん!!さあはやく案内してください!!!
みんなでだーしげさんの後をほいほい歩いて行く。だーしげさん曰く、「ここはもうあらかた採っているだろうから、別の尾根におりてみた」とのこと。いや、違いますね、やはり。
しばらく山道を歩いていくと、「ここらへんだよ」と、確かにモミもスギもある。よし探すぞ!!!
だーしげさんが「採れた方角は気にしてる?北側の方角を探すといいよ。ぼくはいつも北側で採っているから。北側は気温の変化が小さいからそこで越冬していると思うんだ」と仰っていたので、北側を中心に探すことにした。
しばらくするとカキにゃんが「採れました」
はやいよ。
「南側で採れましたよ」
そうなんだ。へえ。良かったじゃん。ぼくはもう休憩するから。
カキにゃんに先を越された上、いつまで経っても自分のところには出ないのでもう諦めてしまった。いやはや、自分の悪い癖だと思う。
その後カキにゃんは2頭出し、合計4頭。だーしげさんも4頭。ぼくは1頭。BBさんは採れなかった。
BBさんは「僕は虫屋じゃないから別にいい」と仰っていた。ぼくのでよろしければ……と喉のあたりまで出かかったが、さすがに手ぶらで帰るにはいかなかった。
これだけ採れたからトゲフタオはもういいよね、つうことで、後半はネブトクワガタを探すことになった。
ぼくはあんまりネブトクワガタとやらに興味はなかったし、採れる気がしなかったので、どのような材に入っているかを聞いただけで終わった。
結局入ろうとしていた林道が通行止めだったということもあり、ドライブで終わってしまった。
採集後は、このメンバーと、なぜかQ州大学の千葉県出身の某ハチ屋さんと忘年会モドキをした。
なぜ東京まで来てうちの大学の人と飲み会をしなければならないんだと思ったけど、なかなかに楽しかった。
というわけで、今回、だーしげさん、BBさん、カキにゃん、ありがとうございました。