死にかけのクソ野暮ったさFree From
自分はセミがかなり好きだ。ナガクチキの次に好きかもしれない。
しかし、積極的に集めてはいない。なぜか?それは、色を残すのが大変だと思うから。
同様の理由でトンボも集めていない。〆てからタトウに入れておけばいいだけの甲虫とは違う。
セミには詳しくないのだが、本当に色を残すのは大変なのだろうか?どこかで、薬品を使わずに高速で〆れば色が残ると聞いた。もしそうならセミを集めてみるかもしれない。
しかし、採りたいセミはと訊かれるととっさに答えは出てこない。チョウセンケナガニイニイとツマグロゼミ、クロイワゼミは見てみたいけどそこまででもない。
酒を飲みながら、タトウの中で色褪せたまま眠っているクロイワツクツクを見ていると、とりとめのない考えが次から次へと頭の中を駆け巡っていくのが分かる。
そういえば小さい頃は気が狂ったようにセミを採っていた。虫かごが真っ黒になるほどセミを採りつくし、最後に家のベランダからみんな放していた。ニイニイゼミとアブラゼミ、ミンミンゼミがほとんどだった。
セミを採る行為自体が楽しかった。セミに気付かれず近くまでそっとそっと寄り、ダイナミックに網を振る。この一連の行為に、途轍もない快感を感じていた。
セミを採るのは家のすぐ近くにある神社と相場が決まっていた。夏休みなどはラジオ体操が終わった後は一目散にこの神社に行き、飽きずにセミを採っていた。毎日毎日、他の虫には目もくれずに。
自分はそこまでセミが好きだったのか、それともセミを採るという行為自体に魅せられていたのか、それは今となっては分からない。何せかなり昔のことである。
ただ、自分はセミは結構好きだ。